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INTERVIEW / NATSUKO GOTO
後藤夏子
2022年入社
大学院でコンピュータサイエンスを修めた後、2022年4月に野村證券に入社し、クオンツ・ソリューション・リサーチ部にてクオンツアナリスト業務に従事。様々な金融経済や企業財務データを活用し、数理統計手法を駆使して開発したモデルに基づいて、ウェルス・マネジメント部門と協働しながら主に事業会社に対して資産運用コンサルティングを行っている。
― 野村證券に入社する前はどのような研究をしていましたか?
大学院では、機械学習、特に自然言語処理(NLP)という分野を研究していました。身近な例としてはChatGPTなどのAIチャットボットに使われる技術を研究する分野です。その中で、私は「機械翻訳モデル」の研究に取り組んでいました。人間の思考において視覚情報が重要であるのと同様に、AIにとっても、言語を自在に扱うためには視覚情報が有用なのではないかと考え、画像情報も活用したモデルの研究を進めていました。
これらの研究を通じて培ったデータ分析の知識や機械学習の技術は、現在の業務においても大きな基盤となっています。
― なぜ野村證券を選んだのでしょうか。
就職活動を進める中で、「クオンツ」という数学的手法を用いて金融市場や企業分析を行う職種があることを知りました。金融経済にはもともと興味があり、その分野で自分が大学院で培ったデータ分析スキルや機械学習の技術が活かせる点に魅力を感じました。
当初は、機械学習エンジニアとしてのキャリアも検討しましたが、クオンツ業務では単なる技術だけでなく、金融市場の変化や企業の経営課題と直接向き合う分析が求められる点で大きな魅力を感じました。さらに、野村のコンテンツ・カンパニーは野村総合研究所の金融商品研究部門を継承しており、腰を据えた調査・分析を行うシンクタンク的文化があります。スピード感を持ってお客さんに向き合いつつも、ゆったりとリサーチ業務にも時間を割くことが出来る環境に惹かれました。
― 現在のご担当業務とはどのようなことを行うのでしょうか。
私が所属するクオンツ・ソリューション・リサーチ部では、インベストメント・バンキングやウェルス・マネジメント部門と連携し、企業のさまざまな経営課題に応えるための定量分析を行っています。
私はウェルス・マネジメント部門向けの分析を主に担当しており、ポートフォリオ理論・金融工学理論に基づいた定量分析を提供しています。クライアントが抱える本業を踏まえた資産運用提案、運用の基本方針の策定やリスク分析、さらには業界全体のクオンツ分析など、多角的なアプローチで支援を行っています。
加えて、新規ソリューションの開発にも取り組んでいます。たとえば、企業のIR開示の重要性が増していることを背景に、テキストデータから有益なインサイトを引き出す機械学習モデルの構築を行いました。新しい試みのためデータ収集など困難は様々ありましたが、積み上げたものが形になり、日本を代表する大企業のお客様のIR戦略にご活用頂けたときには、大きなやりがいを感じました。
― ご所属されている部署/チームの環境や雰囲気について教えてください。
証券会社といえば体育会系の雰囲気を想像される方が多いかもしれません。しかし、クオンツ・ソリューション・リサーチ部は、どちらかといえば大学の理系研究室に近い落ち着いた雰囲気があります。メンバーには、博士号取得者も含み、知的好奇心が強い方が多いです。不定期で輪読形式の勉強会が開催されており、新しい技術や知識をビジネスに応用する土台が整っています。
業務中に勉強時間を確保することにも理解があり、現場で得た気づきを活かしながら、常に成長を目指すことができる環境です。同僚の方々は気さくで尊敬できる方ばかりで、悩んだ時に相談したり、真摯に議論を重ねたりすることで仕事の精度を高めています。
― 仕事を行う上で心掛けている点は何でしょうか。
「お客様のために」という視点を常に忘れないことです。特に新規ソリューションの開発業務では、技術者としては斬新で高度なモデルを導入したくなってしまいますが、どんなに優れた技術であっても、ビジネスである以上、顧客に価値が伝わらなければ意味がありません。
「顧客が何を求めているのか」と「こちらが提供できるソリューション」をしっかりとマッチングさせてストーリーを作る。この点を模索するプロセスを大切にしています。
― 今後、挑戦していきたいことについて教えてください。
日々刻々と変化する金融経済環境に対して、求められるリサーチを地道に続けるということに邁進していきたいです。お客様へのコンサルティングという形以外に、セミナーでの発表や論文執筆など、広く分析結果を発信することも推奨されており、挑戦していきたいです。
また当部の新しい取り組みとして、社内の膨大な顧客データを解析し、マーケティングに応用するプロジェクトに参加しています。困難も多いですが、ビジネス拡大に大きなインパクトを与える重要な試みなので、周囲を巻き込みながら成果へとつなげていきたいです。